造園士の副業は稼げる?植木屋の独立時の年収はいくら?

今回は造園士・植木屋の副業について挙げてみたいと思います。

今でも街中を歩いていると個人宅でも立派な日本庭園を見かける事があります。

庭石や樹木・池などを見てもプロが手掛けた庭かどうかは素人でもなんとなく分かるものです。

昔と違い今では洋風作りの建築・庭園が主流になっている為、純和風の庭園を見かける数は少なくなりましたが、それでも広大な庭をいつまでも美しく保つためには造園士などプロの技術が必要とされます。

またただ単純に庭を手入れすれば良いという訳ではなく、建物との色彩バランスや調和・植物などの配置などによって庭の見た目は大きく変わる事から、センスが問われる仕事でもあります。

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造園士・植木屋の仕事内容は?

庭師や造園士と言えば、個人宅などで大きなハサミを使い草木を刈っているような仕事をイメージする人も多いかと思いますが、それだけではなく薬剤の散布や剪定・草刈りや庭造りなどの仕事も含まれてきます。

また個人宅だけではなくマンションや街路樹・公共施設・公共工事関連の仕事など請負先としても様々。

特に昨今では個人宅の庭師としての仕事は激減しており、本来の仕事とはあまり繋がりのない土木や建築工事関連の仕事を同時に請け負う会社も多くなっています。

 

個人宅においての造園需要が減る中で、一方では癒しを求める空間や自然をコンセプトにした店舗・ホテルや高給料亭の空間造り・屋上での造園など、本来の造園場所以外での仕事を受注する機会もあるようです。

若年層の間ではガーデニングに凝る人は多くいても、庭造りに興味を示す人は少なくなってきました。

 

さて造園の仕事内容を大別すると、主に3つに分類する事ができます。

  • 植栽業務:植木を植えたり泥入れをする
  • 剪定業務:植木等の剪定を行う
  • 造園業務:個々に合った庭を造る

 

造園士や庭師の仕事の進め方としては、まず依頼主の希望イメージを汲み取り、庭の日当たりや樹木・草木の配置・排水や環境を考慮して設計をする事から始まります。

そしてその設計を元に地盤作りをし、樹木や草木の配置を決めたり池や石の位置を変えたりして完成イメージの空間に近付けていきます。

また依頼者の要望によっては土台を作ったりブロックの解体・砂を撒いたりと、造園というよりは土木に近い作業をする事もあります。

庭師や植木屋は個人で仕事もする事も多く、顧客から感謝をされるなど達成感を感じやすい仕事でもありますが、それだけに自分で仕事の受注を取ってきたり、将来的に需要が見込まれる仕事を見極める目など、個人の力量やセンスが求められる職種でもあります。

 

庭師・植木屋は儲かる?給料は?

造園士や庭師は造園会社などに就職するタイプと独立してフリーで働くタイプがいます。

造園会社に勤めた場合、収入としては300~400万円台に落ち着く事が多く、会社や仕事量によってはそれ以下の会社もあります。

会社にもよりますが初任給としても通常は15~20万円程度と、さほど高い給与ではありません。

また雇われの庭師の場合、給与支給は日給制となっている会社も多く、金額として日給1.5~2万円程度の所が多いかと思います。

 

庭師の勤め先としては、造園会社の他にも植木屋さんホームセンターに勤めることが一般的です。

中には建築事務所やハウスメーカーから仕事を請け負っている所もあります。

金額的に見ればアルバイト等よりは収入は良いですが、会社によっては定期的に仕事が発生しない事や造園以外の工事仕事などをする事も多く、安易に金額だけでは判断できない部分もあります。

また造園会社の中には賞与が付かない会社や保険が付かない小規模経営の会社なども多くあります。

 

キャリアアップの為に造園技能士や造園施工管理技士などの資格取得を検討する道もありますが、やはり基本的には職人肌の世界であり人との繋がりや信用・技術が評価されやすい世界でもあります。

また現在では親方に弟子入りして仕事を覚えていくといったスタンスを取る若年層も少ない事から、後継者不足などに悩まされる事業者も出てくるかもしれません。

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造園士・植木屋として独立するには?

造園士・植木屋として独立をするにはどうすれば良いでしょうか。

幾つかの方法が考えられますが、まずは造園会社に就職をしたり、個人の親方について修行を重ねていく方法が一番無難かと思います。

通信教育等で知識を学ぶことは出来ますが、庭師は技術や経験がモノを言う商売であり、やはり実地での経験が必要となります。

 

副業的に一般宅の剪定作業だけ請け負っていくのか、庭師として本格的に仕事をしていきたいのかによっても必要な修行期間は異なり、特に将来的に庭師としてやっていくのであれば信頼のおける庭師の元で10年以上の修行は必要でしょう。

また小規模な事業として一般宅を中心に作業していくのか、大規模な公共事業等を請け負っていきたいのかによっても必要な経験が異なります。

特に最近では庭の手入れにおいても、毎年仕事を依頼してくる顧客は少なく、料金を気にして2~3年おきに仕事を依頼する人も増えているので、どの程度の料金帯で請け負っていくのか料金設定も検討が必要です。

 

また独立をするのであればもちろん道具も自分で準備をする必要があります。

木ばさみや剪定バサミ・刈り込みばさみやノコギリ・はしご・軽トラといった基本的な道具は準備しておく必要がありますし、それを保管するスペースも必要になります。

 

植木屋などの仕事は昔から頼んでいる職人さんに任せているケースも多く、新規で独立していくには新たな顧客開拓の努力も必要です。

特に高齢化が進む職人の世界なので、HPすら用意していない所もあり、分かりやすい料金設定やポスティング等の地道な営業努力が実を結ぶこともあります。

造園士や植木屋として独立するには、まずは信頼できる師匠を見つけ一緒に仕事をさせてもらっていき経験を積みながら、少しずつ顧客獲得に行動していく事が無難と言えるでしょう。

 

造園士・植木屋の独立時の年収は?

大きく稼ぎたいのであればゆくゆくは庭師・植木屋として独立してフリーの道を考える機会も出てくるでしょう。

庭師や植木屋の独立時の年収としては、300~500万円程度の職人が多いように思います。

 

若い頃は造園会社で下積みをし経験を積んでから独立してフリーになる造園士も多いものですが、独立すればある程度自分でスケジュールで仕事を進める事もできますし、人件費や経費を除く収入はほぼ自分のものとなる為、営業力や技術に自信がある人はフリーの道を検討しても良いかもしれません。

また庭師の場合には許可等も必要ない事から極端な話、誰でも庭師と名乗る事が出来ます。

しかし実際に仕事に結び付けられるかどうかはその営業力や技術に委ねられる部分も多く、フリーになってサラリーマン時代より年収が下がってしまったという庭師・植木屋も少なくありません。

 

フリーの場合には上記と同様に日給を例えば2万円程度と考えると、一般宅の年間管理の回数が年3回程度と仮定しても1件あたりから頂ける年間料金は6万円程度。

サラリーマンの平均年収が400~500万円とすれば庭師がそれと同等の金額を稼ぐには70件以上の顧客を抱えておく必要がある事になります。

今の庭の仕事減の状況下で新規で50件以上の顧客を継続して確保していく事は中々困難でしょう。

もちろん年間契約だけでなく、他関連業者からの仕事の受注や、大きな造園工事があれば収入も増えますが、独立したての段階で軌道に乗れるかどうかは分かりません。

 

またその他にもフリーの場合には道具費・ガソリン代・保険費・剪定処理料など諸々のコストを自己負担である事を考えると利益を圧迫します。

さらに庭師の中にはボランティア感覚で引き受ける職人さんもいるので、価格競争も激しくなりそうな気もします。

庭師や植木屋を副業仕事として考える人もいますが、独立時の本業として考えた場合にはかなりの労力が必要と考えておいた方が良いのかもしれません。

 

造園士・植木屋のつらい所は?

まず先にも書いたように職人肌の世界である為、下積みという考え方が今でも優先されやすい傾向があります。

師匠となる人がいたとしても高齢者である事が多く、まず数年は下積み経験を積んでからやっと本格的に庭仕事をさせてもらえるといった事も多いでしょう。

そのため最初は立派な日本庭園を造りたいという夢や目標を持って庭師・造園士になったとしても、入って間もない頃は道具の手入れや雑務等しかやらせてもらえず、まして今では大手業者でないと中々まともな庭仕事を抱えているケースも少なく、結果的に付随する土木作業等しか出来なくなるとも限りません。

 

また特殊な職種である事から中高年になって途中で転職を試みたとしても、中々潰しが効きにくいのもこの仕事の難点と言えます。

フリーになるとしても、師匠や会社からの仕事のコネ・伝手があったり建築会社や不動産会社とのパイプ・個人宅の得意客を掴んでからの独立が望まれます。

 

また庭をいじる事から当然に季節によっては害虫に遭遇する事も多く、その他にも草木や植物に被害を与えるような害虫であれば取り除かなければなりませんし、自分が刺されないようにする為にも防虫器や防服を着用して作業をする必要があります。

害虫の種類や刺され方によっては健康を害するほどの症状になる事もあり、慎重な作業が求められます。

 

また造園士や植木屋は天気や時間帯に左右されやすい仕事でもあります。

屋外での作業になる事から雨や雪の日は作業を中止する事もありますし、強風の日は高所での作業が出来ない事もあります。

また時間帯としても明るい時間帯がメインとなり、朝早くから日の暮れるまでの作業になりますが、当然に真夏は暑い炎天下での作業になりますし、真冬は寒空の下での作業になります。

特に真夏日は体力を消耗しやすく、定年などの年齢制限がない職種ではあるものの、実際には中高年以降は体力的にリタイヤしてしまう庭師も多いかと思います。

 

また樹木は生き物であるため、完成までに顧客とよく相談をしながら工事を進めていかなくてはなりません。

せっかく完成しても「イメージと違った」と言われないように、図面等で説明をしながら工事を進めていく必要がありますし、樹木であるために完成後のアフターサービスにも配慮する必要があるでしょう。

 

植木屋や造園士と言うと憧れを持つ人も多いかとは思いますが、恐らくは業界自体の今後の仕事減も予想される事から、なかなか厳しい世界でもあります。

また多少技術が備わった人であればちょっとした庭仕事は自分で行ってしまう人もいますし、また日本的な庭園の美しさを今の人たちに理解してもらう為の努力も必要であり、やはりこの仕事の難しさを痛感する所もあります。

副業的に少しずつ経験を積み顧客を獲得していく中で徐々に独立を考えていく等、働き方もよく検討が必要なのかもしれませんね。

今回は造園士・植木屋の副業について挙げてみました。

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